北海道自然観察協議会は自然観察指導員の集まりです。

北海道自然観察協議会

 

2016年7月の行事一覧

地方開催研修会 「秘境 浮島湿原を巡る」観察会

開催日 2016年07月10日(日)
観察地 上川町・滝上町
テーマ 行程(1) 秘境、浮島湿原の自然を知る。行程(2) 湿原周辺大地(白滝)の成り立ちを知る。
地方開催研修会に位置づけて戴き、旭川・紋別・幕別・湧別・津別・遠軽からの参加者を得て、時中一瞬の小雨以外は天候に恵まれ、行程(1)・(2)を予定通り実施。行程(1)では、浮島湿原の基盤を成す地質に触れてからアカエゾマツ林に囲まれた台地上に広がる湿原景観を観察。モール温泉のような黒褐色の水を湛えた池塘周辺には青色のエゾイトトンボが飛び交い、モウセンゴケ、ツルコケモモ、ヒメシャクナゲ、ワタスゲ、タチギボウシ、ミズゴケ類、チングルマ、エゾヒツジグサ、ホロムイリンドウ、アカミノイヌツゲ、イソツツジ、トキソウ、ゼンテイカ、アカエゾマツ(矮性樹)等々を観察。途中、倒木更新後のエゾマツの様子やサルオガセ(地衣類)の相利共生の紹介、そして池塘水の酸性度について比色検討、更に泥炭の堆積速度の紹介や水深が1.5mを超える池塘ではエゾヒツジグサ(抽水植物)が生育しないなど、池塘での植物の生育環境を観察。その他、耳を澄まして野鳥の鳴き声の聞き分けを実施。また、湿原観察の帰途、幸運なことにエゾライチョウのファミリーを観察できました(報告写真は幼鳥)。 次に北見峠を越え、行程(2)では遠軽町埋蔵文化財センター(白滝)で、幌加湧別カルデラ内に噴出した流紋岩溶岩の外皮として形成された黒曜石の概要と周辺大地の成り立ちを学んでから、十勝石沢路頭に端を発する十勝石沢川で黒曜石の転石路頭(梨肌黒曜石)を観察。次に北大雪スキー場付近の天狗平展望台に移動し、黒曜石の原産地を遠望しながら火砕流のつくったパノラマが広がる高原台地から湧別川の流路に沿って形成された大地について俯瞰した。  お陰様で、北海道自然観察協議会主催の観察会を担当するのは初めてでしたが、参加された方々から、「普段何気なく通り過ぎていた道東の此の地にも、視点を少し変えるだけで、感動的で多くの見学に値する自然が存在することが解りました!」とか、「動植物の生活を支える気象や大地の成り立ちを知ることも大切だと感じた!」という声を頂戴し、安堵の念をもって無事終了したことを報告します。観察会の実施に当たり、ご支援を戴きました会長様はじめ関係会員の皆様に心より感謝申し上げます。何らかの形で今後も道東の観察会を継続実施したいと思います。

エゾライチョウ

トキソウ

モウセンゴケ

十勝石沢・転石

池塘・浮島

浮島湿原散策
2016年7月10日